《母なるアマビエ》

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《母なるアマビエ》

作品は、コロナ禍における家族の繋がりをテーマにした作品である。
今日、コロナ禍の母親は、出産や保育といった様々な場面で、面会禁止を強いられ、本来あったはずの周囲との繋がりが切られ、孤立しがちである。
作品中央には、幼児を抱く母親が描かれ、パソコンに向かいあう形で、椅子に腰掛けている。
母親は、自身の腕の中に抱かれた幼児へと視線を向けているが、マスクをしており、表情が浮かがえない。
母親は、コロナ禍で会えない祖父母と、パソコン越しに会話しているのだろうか。
しかし、母親と対峙するパソコンは、画面が真っ暗に描かれている。
あえて描かれない画面に映るのが、どのような人々なのか、それは鑑賞者の想像に任せたい。
きっと、今繋がりたい大切な人を思い描いてくれるだろう。
また、真っ暗な画面は別の意味合いもあり、赤ちゃんにとっては、目の前に存在しない祖父母を認識できないというコロナ禍ならではの問題を密かに暗示してもいる。
そして、パソコン下にある母親の足元に目を遣ると、尾が生えており、彼女が人魚として描かれていることに気付く。
これは、疫病から人々を守るアマビエ像と、コロナから我が子を守る母親像を重ね合わせたからである。

作者は、自身の妊娠が判明した翌週に、中国で新型コロナが確認されたというニュースに出くわした。そして、緊急事態宣言下で、一人きりの出産を経験し、現在コロナ禍での育児に奮闘している。
本作品は、全国の母親や子供達を応援する意味を込めて描きあげたものであり、このコロナという厄難を乗り越えていこうというメッセージになれたら幸いである。

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